研究課題/領域番号 |
15026206
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
二村 雄次 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80126888)
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研究分担者 |
小田 高司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (30311715)
中沼 安二 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10115256)
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キーワード | 肝内結石症 / 肝内胆管癌 / 疫学 / 胆管内乳頭状病変 / 分子疫学 |
研究概要 |
肝内結石症および肝内結石症に合した肝内胆管癌の罹患状況・発生機序を明確にして、その危険・防御要因を解明し、本症の予防方法の確立に奇与することを目的として以下の研究を行った。 【疫学的研究】 台湾での症例対照研究結果から肝内結石症、肝内胆管癌の発生が不十分な衛生状態、感染症罹患に関連する可能性が示唆されたため、肝結石の生成に直接関与する感染を同定し、その予防法を策定するため、現在、患者血清と細菌DNA検索用の肝内結石を収集中である。 【臨床病理学的研究】 1.胆道造影所見によるretrospectiveな研究では、日本、台湾両国の肝内結石症患者の肝内区域胆管枝の合流形態に有意差を認めなかった。現在、本年にわれわれが開発したMRI hydrogramによる定量的な胆管形状の計測方法を加え、最新画像によるさらに詳細な形態学的解析を長庚記念醫院においてprospectiveに進行中である。 2.肝内胆管癌の前癌病変、初期病変である"胆管内乳頭状病変"の発生にHuman REG I gene、DMBT-1 geneが関与することを明らかにした。また、日本の本症では高率に認められるキャンピロバクター菌属感染につき、平成16年度、"胆管内乳頭状病変"との関連、特に胆管粘膜の胃腸上皮化生へ関与について研究を行う予定である。 【分子生物学的・分子疫学的研究】 DNAアレイを用いた網羅的遺伝子解析では、肝内結石における結石存在部位の肝葉が分子生物学的に癌にきわめて近い状態であることが明らかとなった。この結果に基づいたヒト胆管癌細胞株を用いた基礎的研究では、炎症性サイトカインTNF-αが胆管癌の浸潤転移に促進的に作用していることを示唆する知見が得られた。この結果は肝内結石症における慢性炎症が癌の浸潤・転移に促進的に働く可能性を示唆しており、TNF-αレセプターを標的とした胆管癌の分子標的治療の可能性が示唆された。
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