研究課題/領域番号 |
15026211
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
河野 道生 山口大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40161343)
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研究分担者 |
津山 尚宏 山口大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10335747)
小幡 雅則 山口大学, 医学部, 講師 (80158831)
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40294623)
石田 禎夫 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20305220)
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キーワード | 骨髄腫 / 良性M蛋白血症 / DHEA / IL-6 / 未熟型骨髄腫細胞 / NF-kB / PPAR |
研究概要 |
骨髄腫の前癌病変と考えられる良性M蛋白血症(BMG)は、骨髄腫の約10倍位存在し高齢者の約1〜3%に見出され、その内約10%は数年のうちに骨髄腫に進展してゆく。本研究では、BMGから骨髄腫へ進展するのを早期に検出できる指標を明らかにするものとして、加齢とともにその活性が低下する副腎皮質ホルモンDHEAに注目した。DHEAの骨髄腫細胞に対する作用を明らかにし、その変動の意義を解明する。骨髄腫の前癌病変である良性M蛋白血症(BMG)患者60例および既に骨髄腫に進展した症例180例につき、血清および骨髄中DHEA-S値、IL-6値および骨髄中の形質細胞亜群の動態を解析した。一部の症例の骨髄穿刺液から骨髄腫細胞亜群をセル・ソーターで分取した後、in vitro系でDHEAおよびDHEA-Sの増殖あるいはIL-6産生に及ぼす効果を検討した。血清および骨髄中のDHEA-S値は、骨髄腫および進展期のBMGで対照群および安定期のBMGに比して有意に低下していた。逆に、血清および骨髄中IL-6値は骨髄腫および進展期のBMGで有意に亢進していた。進展期のBMGでは、骨髄中の未熟型形質細胞の比率が有意に増加していた。DHEAおよびDHEA-Sは、in vitro系で骨髄腫細胞の増殖を直接的に抑制でき、しかも骨髄単核球細胞からのIL-6産生を有意に抑制した。更に、in vivo系においても、骨髄腫細胞の増殖を著明に抑制した。DHEAを骨髄腫細胞株U-266や骨髄ストローマ細胞株KM-102に作用させると、PPARβ遺伝子の発現が亢進し、次いでIkB発現が亢進し、結果としてNF-kB活性の抑制を引き起こした。従って、ホルモンDHEAの変動はBMGから骨髄腫への進展に関わる機構の一つを示しているものと考えられた。
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