研究課題/領域番号 |
15029231
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
姜 英男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (50177755)
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研究分担者 |
齋藤 充 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50347770)
小林 真之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00300830)
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キーワード | 大脳皮質 / 機能円柱 / 局所回路 / 錐体細胞 / GABA_A受容体 / GABA_B受容体 / カラム内抑制 / カラム間抑制 |
研究概要 |
大脳皮質は、脳表面に平行した6層構造をもち、入出力の層特異性や各層に存在するニューロンの膜特性が明らかにされてきた。一方、大脳皮質には層構造に直交するもう一つの機能単位、機能的カラムが存在する。しかし、大脳皮質の局所神経回路は、層構造と比較して機能的カラム構造の詳細な神経回路機構は未だに不明な点が多く残されている。 大脳皮質第II/III層の錐体細胞はその軸索を白質に向かって下行させる途中、第II/III層及びV層の両方において軸索終末領域を形成し、それぞれの層の錐体細胞とシナプス結合することが知られており、皮質内局所神経回路の基本構造を形成する。こうした興奮性シナプス結合を抑制性入力が調節することにより、カラム内或いはカラム間の神経細胞活動の同期化や非同期化が実現されていると考えられるが、その機構の詳細については不明である。そこで、こうした抑制性入力による調節機構を明らかにするため、dual whole-cell patch clamp法を用いて研究を行った。隣接するカラムの二つの第II/III層錐体細胞から、或いは、同一カラム内の第II/III層及びV層錐体細胞から同時記録を行い、第II/III層に微小刺激を与えて、EPSCを誘発した。その結果、誘発EPSCのGABA_B受容体活性化によるシナプス前抑制は、同一カラム内の第II/III層及びV層錐体細胞の両方において同様に認められたが、隣接するカラムの第II/III層錐体細胞では認められなかった。従って、GABA_B受容体を活性化する抑制系がカラムに沿って垂直方向に広がっている可能性が示唆された。また、シナプス前抑制により抑制されたEPSCは、隣接するカラムの二つの第II/III層錐体細胞では負の相互相関が認められたが、同一のカラム内の第II/III層錐体細胞及び第V層錐体細胞では相互相関は認められなかった。以上のことから、カラムに沿って垂直方向にひろがるGABA_B抑制系が興奮性入力の同期化に関与する可能性が示唆される。
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