研究概要 |
低分子量G蛋白質Racの神経回路形成およびシナプス可塑性における機能をin vivoで明らかにするため、1)rac1遺伝子の開始コドンを含むエキソンをloxPで挟んだアリルを導入したヘテロ型rac1(+/flox)マウス、2)rac3遺伝子の開始コドンを含むエキソンの5'非翻訳領域にloxPを導入し、rac3遺伝子の最終エキソンのpolyA付加シグナルの3'領域にloxP-HcRedを導入したヘテロ型rac3(+/flox-HcRed)マウスをジーンターゲッティング法により作製した。rac1(+/flox)キメラマウスは、すでに作成していた小脳プルキンエ細胞特異的にCreを発現するrac1(+/-)/L7(+/cre)と交配しており、その仔マウスでは1/8の確率でRac1をプルキンエ細胞で欠損するrac1(flox/-)/ L7(+/cre)が得られる予定である。また、in situハイブリダイゼーション法によりrac1,rac3 mRNAの発現を検討し、rac1は神経系において幼弱期から成熟脳にいたるまで、神経系のほとんどの細胞(ニューロンおよびグリア)で強い発現が見られるのに対し、rac3は幼弱期から神経系での発現が強く、特に発達期に強いシグナルが脳全体で見られるが、成熟脳での発現は低いことが明らかとなった。また、Racコンディショナルノックアウト作製のための領域特異的Cre発現マウスとして、Emxl-creノックインマウス(ターゲッティングベクターをES細胞に導入し、G418耐性クローンをサザンブロット中)、NR2C(GluRε3)-cre Tg(2系統のファウンダーを交配中)を作製中である。
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