研究課題
DIP(mDia結合蛋白質)がEGF刺激によりSrc依存的にチロシンリン酸化されること、DIPの免疫沈降によりp190RhoGAP、Vav2が共沈するとともにDIPのリン酸化にともなってp190RhoGAP、Vav2もチロシンリン酸化されること、それによってRhoの不活化、Racの活性化をもたらすことを見いだした。このシグナル伝達にともないDIPがp190RhoGAP、Vav2を細胞膜直下に動員し、細胞形態、ストレスファイバー、細胞運動を調節すること、これらのシグナルおよび細胞生物学的な変化は、DIPのdominant negative体およびsiRNAを用いた検討でうち消されることも確認した(EMBO J,2004)。先に報告しているRho-mDia-Src系(Mol.Cell.,2000)とあわせ、mDia-Src-DIPからRho、Racへの新たな経路を見いだし、これらの経路が細胞運動を時・空間的に制御することを明らかにした。DIPは以前Grb2とも結合することを報告しており(JBC,2001)、DIPがRas系のシグナル伝達に関与すると考えられる。またDIPは組織普遍的に発現することより、中枢神経系特に軸索伸展過程での役割を中心に検討を進めている。その一例として、PC12細胞を用いてRas依存的な軸索伸展効果を検討したところ、DIPの一過性強制発現がこの効果に影響を与えることを見いだしている。PC12細胞を用いDIPおよびそのdominant negative体のstable cell lineを作製し、シグナル伝達経路を生化学的に解析するとともに、軸索伸展効果を観察するよう実験を進めている。
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