特定領域(2)(翻訳の終結機構の解明) 翻訳のメカニズムは解明されたとされている。しかし、分子メカニズムに関しては実に不明な点が多く見いだされる。特に、翻訳終結から開始へのプロセスに関しては、むしろ推定の域を出ないものが多い。私達は、大腸菌の翻訳因子やリボソームを完全に精製し、再構築したPURE(Protein synthesizing system Using Recombinant Elemehts)システムを完成させることに成功している。PUREシステムによって翻訳のすべてのプロセスを、試験管のなかで行うことが可能であるばかりではなく、すべてのプロセスのスナッブショットを取ることが可能である。本研究では、RF1とRF2による終止コドンのデコーディングの機構をPUREシステムにより明らかにすることを目標としている。14年度は、PUREシステムを用いた実験系によって、RF1とRF2の、ペブチドアンチコドン部位に変異を導入し、これらのRFの終止コドンの解読の特性を解析した。その結果、これらのペプチドアンチコドンの領域は、終止コドンの解読特性には関与しないことが示唆された。 同時にRRFは、翻訳終結後のリボソーム・mRNA複合体を解消のプロセスの解析を行った。その結果RRFは、リボソームを従来考えられていた30S、50Sの解離した形ではなく、70Sの状態で解離させることが示された。また、70Sの各サブユニットへの解離はIF3によっておこることが示された。
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