(1)生体内IPAS遺伝子発現パターンを解析した。 正常マウス、低酸素下飼育マウスを屠殺後各組織をえ、RNAを抽出した。RT-PCRによりIPASとHIF-3αのmRNA発現パターンを比較・解析した結果、とくに心臓、肺、脳においてはIPAS mRNAとHIF-3α mRNAの発現は相互に補完的であることが示された。かかる結果は、両者が同一の遺伝子からalternative splicingによって産生されることと合致した。かかる機構は低酸素依存性であり、酸素濃度5%以下から見い出された。また、IPASのタンパクレベルの発現を確認するため、ウサギを用いて抗IPAS抗体を作成し、その特異性、感度を検証した。 (2)IPAS発現制御機構の解析 選択的スプライシング機構の解析に向け、ミニジーンなどの実験系を用いて低酸素依存性IPAS特異的スプライシングに寄与するシスエレメントを同定しつつある。低酸素依存性IPAS特異的スプライシングに寄与する制御蛋白をプルダウン法、質量分析法などを駆使して同定中である。すでに既知のRNA結合タンパクを含む10数種の候補をえた。 IPAS遺伝子プロモーターをBacクローンからえ、各種変異を導入したルシフェラーゼレポーター遺伝子後培養細胞にトランスフェクトし、正常酸素分圧下、低酸素分圧下で培養後ルシフェラーゼアッセイを行なった。その結果、数カ所に低酸素応答性DNA配列が存在する可能性が示された。
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