研究課題/領域番号 |
15030232
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
木俣 行雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (60263448)
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研究分担者 |
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 教授 (50142005)
都留 秋雄 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 助手 (80273861)
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キーワード | ストレス / 小胞体 / 分子シャペロン / ストレス応答 / UPR / RNA / スプライシング |
研究概要 |
I型膜蛋白質であるIre1は、小胞体ストレスに応じて活性化し、Unfolded Protein Response (UPR)シグナル伝達経路を通じて、例えば分子シャペロン遺伝子の転写を誘導するなど、ストレスに対する生体防御応答を引き起こす。Ire1の活性制御に関して分子レベルで唯一分かっていることは、非ストレス状態では小胞体内在性分子シャペロンBipがIre1に結合してその活性を抑えており、小胞体ストレス状態ではその結合が解離するということである。我々は、このBipの結合/解離を含め、小胞体ストレスに応じてIre1の活性が制御される機構を解明することを最終的な目標とし、出芽酵母Ire1小胞体内腔ドメインの一次構造と機能の関連を明らかにするための研究を進めた。実際の研究においては、出芽酵母Ire1小胞体内腔領域に系統的に部分欠失を導入し、それを出芽酵母細胞内で発現させ、機能を有しているか否か、Bipの結合がどうなっているかを検討した。その結果、Ire1小胞体内腔領域に関して、機能に必須のドメインやBip結合配列などを、詳細にマッピングすることができた。 また、Ire1はサイトゾル側末端にRNAaseドメインを持ち、シグナル伝達経路における直接の標的は、特定のRNAの切断であるとされている。ほ乳類には2種類のIre1パラログが存在し、それぞれIre1α、Ire1βと命名されている。両者には細胞内での機能に違いがあるようであり、Ire1αは転写因子XBP1の前駆体型mRNAのスプライシングに寄与し、UPR応答の推進役となる。一方後者は、28SrRNAを切断し、蛋白質合成を阻害する。本研究では、この機能の違いが何に起因するのかを調べた。その結果、Ire1αとIre1βでは、RNaseとしての基質特異性に差があり、それが生物学的活性の相違につながる可能性を強く示唆する知見が得られた。
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