リボソーム生合成はおもに核小体で行われ、rRNAを中心としたネットワークにより、膨大な数の構成成分と調節因子が時空間的に相互作用して超高分子リボソームを作り出している。rRNAの転写、修飾およびプロセシング、蛋白質とのアセンブリ、核小体から核質、さらに細胞質への輸送という複雑な過程を経る。本研究では、rRNA前駆体のプロセシングとリボソームサブユニットアセンブリに関与する調節因子、特にEbp2pとRrs1pについて詳細に解析し、それら因子を介した、rRNAの転写、rRNAのプロセシング、サブユニットの核外輸送など、各反応過程間の連携について解析し、以下の結果を得た。 1.リボソーム生合成(rRNAプロセシングおよびリボソームサブユニットアセンブリ)の調節因子をコードする遺伝子群は、リボソームを構成する成分の遺伝子群と協調的に転写制御されていることを、出芽酵母において見出し、論文発表した。 2.酵母のrrs1およびebp2温度感受性変異株を多数取得し、その表現型を詳細に解析した。 3.Rrs1pおよびEbp2pと相互作用する蛋白質の同定と解析をtwo-hybrid法を用いて行った。 4.TAPタグをつけたRrs1pおよびEbp2pを発現する酵母株を作成し、細胞抽出液からアフィニティ精製によりこれらの蛋白質を含む複合体を調製してSDS-PAGEと質量分析により複合体の構成因子を同定した。
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