研究の目的 植物は発芽後も新たな分裂組織(腋芽分裂組織)を形成し続け複雑な形態を作り上げる。本課題ではイネを研究材料として、腋芽分裂組織の形成および茎頂分裂組織の維持にかかわる機構を分子遺伝学的に解析する。 今年度の成果 腋芽分裂組織の形成 イネlax spa二重変異体では腋芽形成が完全に抑制される。SPA遺伝子座の精密マッピングを行ったところspaは既報のMOC1遺伝子座(Li et al.2003)のアリルであることが判明し、以降moc1-3と呼ぶことにした。LAXはbHLH、ドメインを持つ転写因子であり、MOC1はGRASファミリーに属する転写因子をコードし、シロイヌナズナLASのオーソログである。 茎頂分裂組織の維持 花芽分裂組織が維持されず、花器官数が減少する変異体を見出した。この変異体では花分裂組織だけではなく、穂の分枝にも異常が見られる。現在、この変異体の原因遺伝子の単離を進めている。一方、花器官数が増加する変異体も見出したが、これはFON1遺伝子の機能欠損変異体であることがわかった。これらの遺伝学的関連を調べるために一連の交配を行い、解析材料を作成した。 将来の展望 LAXとMOC1が腋芽分裂組織の形成を制御する主要な遺伝子であることが明らかになった。今後、これらの下流で働く遺伝子に関する知見を集めることにより、腋芽形成に関する理解が進むことが期待される。
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