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2003 年度 実績報告書

植物のサイトカイニン応答における分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 15031216
研究機関京都大学

研究代表者

岡 穆宏  京都大学, 化学研究所, 教授 (10093212)

研究分担者 青山 卓史  京都大学, 化学研究所, 助教授 (80202498)
キーワードサイトカイニン / 二成分制御系 / 形態形成 / ヒスチジンキナーゼ / 転写因子型応答因子 / 細胞内シグナル伝達 / 非転写因子型応答因子 / 維管束形成
研究概要

CRE1がサイトカイニン受容体として働き、ARR1がサイトカイニン初期応答における転写因子として働く。また、HPt因子のAHP群がARR1および幾つかののヒスチジンキナーゼと相互作用する潜在能力を有する。これらの事実より、CRE1、AHP、ARR1の3成分が単一のシグナル伝達系を構成していると信じられている。これをより確実にするためにcre1変異のサプレッション実験を行った。cre1変異株の一つ、wo1変異株、に恒常活性型のARR1ΔDDKをCRE1遺伝子のプロモーター領域(pCRE1)の下流につないで導入すると、wo1変異の表現型である根の発育阻害が解消された。またpCRE1::ARR1ΔDDKの代わりにpCRE1::ARR1ΔDDK::GRを導入すると培地にステロイドホルモンを加えたときのみwo1表現型が解消された。すなわち、CRE1欠損がARR1の活性化でサプレスされ、ARR1が確かにCRE1の下流で機能していることを示している。根の伸張阻害がARR1の活性化で解消されたが、wo1の主たる欠損は不十分な維管束形成なので、伸長阻害が解消された根が実際に維管束形成も正常になっていることを切片の顕微鏡観察によって今後確かめる予定である。また、AHP1およびAHP2は核と細胞質の両方に存在するが、ARR1を過剰発現すると大部分のAHPが核局在となることから、AHPとARR1が植物細胞内でも相互作用することが示唆された。したがってCRE1とARR1はAHPを介して単一のシグナル伝達系を構成していることがより確実になった。なお、wo1変異株ほど厳しい表現型を示さないcre1-1変異株を用いた同様の実験では形質転換植物はARR1ΔDDKの過剰発現株と類似の表現型を示し、cre1欠損のARR1によるサプレッションは両者の微妙なバランスが要求されるようである。
Aタイプの応答因子遺伝子群が実際にARR1の標的遺伝子であることを確認した。したがって、ARR1自身が、おそらく全てのAタイプ応答因子遺伝子のサイトカイニン誘導に関わることができ、ARR2・ARR10・ARR11についてもほぼ同様の結果を与えることから、Bタイプ応答因子群は機能的に重複していることがわかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Ohmiya, Y., Nakai, T., Park, Y.W., Aoyama, T., Oka, A., Sakai, F., Hayashi, T.: "The role of PopCel1 and PopCel2 in poplar leaf growth and cellulose biosynthesis."The Plant J.. 33・6. 1087-1097 (2003)

  • [文献書誌] Ohashi, Y., Oka, A., Rodrigues-Pousada, R., Possenti, M., Ruberti, I., Morelli, G., Aoyama, T.: "Modulation of phospholipid signaling by GLABRA2 in root-hair pattern formation."Science. 300. 1427-1430 (2003)

  • [文献書誌] Oka, A: "New insights into cytokinins."J.Plant Res.. 116・3. 217-220 (2003)

  • [文献書誌] Aoyama, T., Oka, A.: "Cytokinin signal transduction in plant cells."J.Plant Res.. 116・3. 221-231 (2003)

  • [文献書誌] (編集)岡 穆宏, 岡田清孝, 篠崎一雄: "植物の環境応答と形態形成のクロストーク"Springer-Verlag, Tokyo. 230 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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