本年度の研究実績を、以下に記す。 1.3量体Gタンパク質共役受容体候補(OsGPCR)の構造・機能解析:7回膜貫通ドメインを有する3量体Gタンパク質共役受容体候補遺伝子(OsGPCR1)を単離したが、Two-hybrid法の結果、αサブユニットとは相互作用しなかった。 2.3量体Gタンパク質αサブユニットを含む巨大複合体のサブユニット構造の解析:細胞膜画分を可溶化したところ、αサブユニットは巨大複合体(400kDa)に存在した。この画分の精製を進めている。この画分には、受容体や効果器が含まれる可能性がある。 3.αサブユニットを誘導したときに変動する遺伝子群の網羅的解析:αサブユニット遺伝子変異体d1をバックグラウンドに、デキサメタゾン誘導系を利用してαサブユニット遺伝子を誘導し、誘導後に変動する遺伝子群の解析を行い、数百の候補遺伝子を検出した。 4.野生型とd1の種種の組織におけるタンパク質群の比較検討:野生型とd1の種種の組織から調製したタンパク質を2次元電気泳動法にて比較したが、顕著な差は認められなかった。 5.3量体Gタンパク質βサブユニット遺伝子の発現抑制個体の解析:野生型とd1、おのおのに、RNAi法を用いてβサブユニット遺伝子の発現抑制を行った。野生型に抑制を行った場合、形質転換体は矮性・開茎を示し、d1に抑制を行った場合は、d1よりさらに矮性・開茎を示した。これは、βサブユニットはαサブユニットと異なる機能を有することを示唆した。 6.イネ短粒変異体の変異原因遺伝子の解析:現在までに、d1様の短粒形質を示すイネ変異体を約20種類収集した。このうち、d11と系統番号3220の2種類の変異体の変異原因遺伝子の同定を行い、候補遺伝子を1つに絞り込んだ。
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