研究概要 |
II型シャペロニンにおけるHelical Protrusionの役割を解明するために,超好熱性古細菌Thermococcus sp.strain KS-1由来αシャペロニンのHelical Protrusion (32残基)を欠損させたディリーションミュータントαDel I,αDel II,αDel III(各10残基,20残基,32残基欠損)を作成し,ブタ心臓由来citrate synthase(CS)の熱凝集阻害活性と,GFP及びThermoplasma acidophilum由来CSを基質としたATP依存的リフォールディング活性を野生型と比較した.その結果,いずれの変異体もCSの熱凝集阻害活性は野生型とほぼ同じであったが,ATP依存的リフォールディング活性はほぼ一様に低下していた.昨年度,ATPの結合によりII型シャペロニンがOpen構造からClose構造に変化することを示唆する結果を得ているが,野生型と変異体をX線小角散乱で解析することにより,この構造変化がHelical Protrusionのコンフォメーション変化によるものであることを証明した.以上の結果から,ATP結合によるHelical Protrusionのコンフォメーション変化により基質タンパク質のフォールディングが引き起こされることが示唆された.シャペロニンとプレフォルディンの相互作用のKineticsをBiacoreを用いた表面プラスモン共鳴により解析したところ,Bivalentな結合様式であることが分かった.この結果は,プレフォルディンとシャペロニンが複数の結合部位を介して相互作用していることを示唆している.
|