1、プラスチド蛋白質輸送装置の分子メカニズムの生化学的および分子遺伝学的解析 さまざまな植物のプラスチドにおいて蛋白質輸送装置の構成コンポーネントの組成およびアセンブリーの状態をBlue-Native電気泳動・ウエスタン解析、免疫沈降、化学架橋などの手法を用いて比較解析を進めた。また、in vitro合成したプラスチド蛋白質前駆体と単離プラスチドを用いた蛋白質輸送系において、前駆体と蛋白質輸送装置や分子シャペロンとの相互作用を調べた。われわれは、Reverse Geneticsの手法の導入により蛋白質輸送装置を構成するコンポーネントのいくつかについてはそれらの遺伝子座に挿入変異が生じている植物変異株の選別に成功しているが、これらの変異株を用いて各コンポーネントの変異が与える影響を植物個体レベル・細胞レベル・オルガネラレベルで解析した。 2.プラスチド蛋白質輸送装置の機能制御の分子メカニズムの解析 プラスチドへの蛋白質輸送がどのような外環境の刺激に応答してどのように変化するのか、さまざまな植物のプラスチドと、多数のプラスチド蛋白質前駆体を用いた蛋白質輸送系により解析をおこなった。特に光照射、レドックス状態の変化、各種イオンの添加などによるプラスチドの蛋白質の輸送特性の変化について詳細に解析した。そしてプラスチドが外環境の変化を感じ、プラスチドへの蛋白質輸送の制御をいかに行っているのか、そのシグナルトランスダクションに関わる因子を検索した。 3、プラスチドへの蛋白質輸送における分子シャペロンの役割の解析 既に得られているいくつかの葉緑体分子シャペロンに関する変異個体について、蛋白質輸送への影響の詳細を生化学的に解析した。
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