ポリリン酸に依存するLonプロテアーゼによるリボソームタンパク質の分解機構について検討した。ポリリン酸、Lonプロテアーゼ、リボソームタンパク質L24を用意し、それぞれ添加の順番を変えた場合、L24の分解にどう影響するかを検討した。その結果、ポリリン酸とLonプロテアーゼを最初に混合して、ある程度放置しておくことが重要であることがわかった。すなわち、ポリリン酸とLonプロテアーゼが複合体を形成することがL24の分解に対して重要であると推察できた。Lonはポリリン酸だけでなくDNAとも複合体を形成することが知られている。そこで、ポリリン酸とDNAの結合力の比較をゲルシフトアッセイにより行った。その結果、DNAと同量のポリリン酸を競合させることでLonとDNAは完全に解離した。このことより、DNAよりもポリリン酸の方が強くLonに結合することがわかった。Lonに於けるポリリン酸の結合領域を調べた結果、ポリリン酸はLonのアミノ酸配列320番目から437番目の領域に結合することが欠失タンパク質の解析からわかった。同様にDNAの結合領域を調べたところ、DNAもまたポリリン酸と同じ領域に結合することが明らかとなった。通常Lonは細胞内でDNAと結合した状態(ヌクレオイド)で存在していると考えられる。しかし、ストレスを受けてポリリン酸が蓄積する環境ではLonがポリリン酸によってDNAから遊離し、ヌクレオイドの外へ移行することで新たな活性を持つようになると考えられた。
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