1.HSP47のコラーゲン認識機構 (1)光架橋性官能基を有するコラーゲンモデルペプチドを用いたprotein footprintingによるHSP 47のコラーゲン認識機構の解析 光架橋性アミノ酸残基(Bpa)を導入したコラーゲンモデルペプチドを合成した。このペプチドとHSP47を混合し、光照射することによって特異的に架橋を導入する系を構築した。架橋されたHSP47-ペプチド複合体を酵素消化し、得られたペプチド断片の構造を解析することで、HSP47上のコラーゲン結合部位をマッピングできることがわかった。 また、コラーゲンモデルペプチド上のBpaの位置を種々変化させて光架橋反応を行うことによって、HSP47-ペプチド複合体上での、HSP47の分子配向を明らかにした。 (2)ヘテロ3量体型コラーゲンモデルを用いたHSP47-コラーゲン相互作用の解析 末端を2本のジスルフィド結合で結束した、ヘテロ3量体型コラーゲンモデルペプチドを合成した。それらペプチドとHSP47との相互作用を、固相ビーズ結合法、および表面プラズモン共鳴によって解析し、HSP47-コラーゲン相互作用に必要な最小のコラーゲン構造を同定した。さらに、結合には共同性がないこと、および結合のstoichiometryを明らかにした。 2.HSP47によるトリプルヘリックス形成促進効果およびトリプルヘリックス構造の安定化について 上記1で得られたデータに基づいて、分子モデリングを行った。その結果、HSP47はコラーゲンのポリペプチド鎖それぞれを認識することによって、コラーゲンの構造を安定化しうることが示唆された。 3.フォールディング過程における分子シャペロン間での基質受け渡しについて コラーゲン配列の網羅的ペプチドライブラリーをもちいて、プロリル4-水酸化酵素が認識するコラーゲンの必要構造を決定した。
|