研究分担者 |
小野 俊雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80050607)
宮川 勇 山口大学, 理学部, 教授 (50136165)
中山 浩次 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
小早川 健 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (10153587)
馬場 友巳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60189727)
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研究概要 |
本研究では原核生物と真核生物においてHSP90が(1)機能的に、あるいは(2)抗原としてどの程度の違いがあるのかについて検討した. (1)すでにHtpGにおいて報告しているようにNドメイン後半がクライアント結合部位であるため,これがHSP90でも同じかどうかを検討した.ヒトHSP90の場合にはNドメイン単独でそれ自体が自己重合してしまうので解析は困難であったが,この自己重合自体が,N末ドメインの発露であることを見いだした.HSP90のクライアント結合にはアミノ酸289-350が必要でとりわけ341-350が必須であった.この部位には神径ペプチドのニューロペブチドYも結合した(Ishiwatari-Hayasaka et al.,Biochemistry,2003).ヒトHSP90にはNドメインだけでなく,MCドメインにもクライアント結合部位があり,大腸菌HtpGと大きく異なるがヒトHSP90のC末側のクライアント結合部位まそのダイマー形成部位とオーバーラップした.これより,C末側クライアント結合部位は実際には単なるダイマー結合部位であると推察した(Yamada et al.,Eur.J.Biochem,2003). (2)7種のHSP90を発現し,6種類のHSP90特異的ウサギ抗HSP90抗血清および,15種類のマウス抗ヒトHSP90モノクローナル抗体との反応性を検討した.その結果,一部クロスして反応するケースはあるもののその範囲は真核生物内あるいは原核生物内に留まった.このことは歯周病などで予測されているような病原体のタンパク質に対する抗体が宿主のタンパク質を攻撃するという現象は,少なくともHSP90に関しては起こりにくいと考えられた.真核生物HSP90共通の抗体認識配列としてP_<295>IWTR_<299>を見いだした.とりわけW_<297>は必須だった.I_<296>は抗体によってはL_<296>でも認識できた.
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