研究概要 |
我々はcalnexin過剰発現が,ΔF508 CFTRの小胞体関連分解(ERAD)を抑制し,小胞体内のある領域(特異的な構造体,concentric membranous body of rER)にΔF508 CFTRを蓄積させることを見いだした.また,calnexin過剰発現はproteasome阻害剤によるaggresome形成を抑制することから,calnexinはΔF508 CFTRの細胞質への逆行輸送を阻害することが示唆された.さらに,wt CFTRをbrefeldinA処理により小胞体に局在化させ,calnexinを過剰発現させると,ΔF508 CFTRと同様の結果が得られた.従って,calnexinは未成熟なCFTRが小胞体に局在化する間結合し,その逆行輸送を阻害することによって,ERADを抑制していることが明らかとなった(Mol.Biol.Cell,2004).さらに,我々は小胞体分子シャペロンであるcalreticulinを過剰発現させることにより,CFTRの発現量が減少すること,さらに,RNAiまたはantisenseを用いてcalreticulinの発現量を減少させることによりCFTRの発現量が増加することから,calreticulinがCFTRのdownregulatorとして機能する可能性を見いだした.今後,他のABCトランスポーターに対しても同様な効果を及ぼすか否かについて検討を行っていく予定である.
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