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2003 年度 実績報告書

タンパク質社会における糖鎖の機能解明を目指したNMR構造生物学

研究課題

研究課題/領域番号 15032249
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

加藤 晃一  名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20211849)

研究分担者 山口 芳樹  名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (90323451)
キーワード糖タンパク質 / タンパク質社会 / NMR / 構造生物学 / 糖鎖 / 分子シャペロン / ユビキチン-プロテアソーム系 / 安定同位体標識
研究概要

1.糖タンパク質の安定同位体標識法の開発
免疫グロブリンG(IgG)のFc領域をモデル系として代謝標識法とin vitroにおける糖転移酵素反応を利用した糖タンパク質の安定同位体標識技術を開発した。特に、安定同位体標識された藻体タンパク質の加水分解物を利用することによって糖鎖およびポリペプチド鎖に均一に^<13>C、^<15>N標識を施したマウスIgGのFcフラグメントを調製することに成功し、多次元NMRを用いてポリペプチド主鎖および糖鎖に由来するNMRシグナルの大部分を帰属することに成功した。また、帰属の確定したシグナルを分光学的プローブとすることにより、糖鎖の短鎖化・切除に伴うFcの高次構造変化をアミノ酸残基レベルで捉え、Fc_γレセプター結合機能の低下がもたらされる所以を明らかにした。
2.ユビキチンリガーゼによる糖鎖認識の構造的基盤の解明
SCF^<Fbs1>は糖タンパク質を標的とするユビキチンリガーゼである。我々は、SCF^<Fbs1>の糖鎖認識ユニットであるFbs1の糖鎖結合ドメイン(SBD)に着目して、その糖鎖結合様式についてNMRを利用して解析した。そのために、上記1において確立した安定同位体標識技術を活用し、^<13>C、^<15>N標識を施した糖ペプチドを調製した。化学シフト摂動実験により、SBD上の糖鎖結合部位を同定するとともに、核オーバーハウザー効果を利用してSBDと糖ペプチドリガンドの間の距離情報を原子レベルの分解能で抽出した。その結果、SBDはβサンドイッチ構造をしたドメインの一端に位置するループ群を用いて、標的糖タンパク質の糖鎖とポリペプチドの接合部を認識していることを明らかにした。一般に、糖鎖-ポリペプチド接合部は天然構造を有する糖タンパク質においては遮蔽されていることから、こうした結合様式はアンフォールド状態にある糖タンパク質を識別するうえで合目的的であると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 山口芳樹, 加藤晃一: "レクチンによる糖鎖認識の構造生物学"生化学. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] T.Mizushima et al.: "Structural basis of sugar-recognizing ubiquitin ligase"Nature Struct.Mol.Biol.. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] 加藤晃一, 山口芳樹: "免疫系レセプターの分子認識の構造的基盤"臨床免疫. 40. 472-476 (2003)

  • [文献書誌] N.Takahashi, K.Kato: "GALAXY (Glycoanalysis by the three axes of MS and chromatography) : a Web application that assists structural analyses of N-glycans"Trends Glycosci.Glycotech.. 15. 235-251 (2003)

  • [文献書誌] 高橋禮子ら: "多次元HPLC法のグライコミクス解析への展開"蛋白質 核酸 酵素. 48. 1412-1418 (2003)

  • [文献書誌] M.Nagaya et al.: "Two-dimensional high performance liquid chromatography mapping of sugar chains demonstrated the biantennary, complex N-glycan addition to the recombinant glycoprotein produced by baculovirus-infected Antheraea pernyi insect cells"J.Insect Biotech.Sericol.. 72. 79-86 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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