研究課題/領域番号 |
15032250
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
徳永 文稔 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00212069)
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研究分担者 |
桐浴 隆嘉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30347497)
岩井 一宏 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252459)
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キーワード | 酵素 / 細胞・組織 / ストレス / 蛋白質 / ユビキチン |
研究概要 |
ユビキチンリガーゼ(E3)は、分解すべきダメージ蛋白質を特異的に識別し、ユビキチン化することで蛋白質の一生の最終段階に関与する重要因子である。我々は鉄代謝制御因子(IRP2)の鉄濃度依存性プロテアソーム分解を解析する過程で、酸化修飾を受けたIRP2を認識するE3としてHOIL-1を同定したが、HOIL-1は以前にプロテインキナーゼC(PKC)結合蛋白質(RBCK)として、またB型肝炎ウィルスの病因蛋白質(HBx)の結合因子(XAP3)として報告されていた分子と同一であった。そこで本年度の研究において我々は、HOIL-1の基質結合特異性の解明と細胞内蛋白質の品質管理における役割を明らかにする目的で、まずPKCやHBxとの細胞内結合およびユビキチン化への影響を調べた。その結果、1)HOIL-1はユビキチン様ドメインを介して各種イソフォームのPKCやHBxに結合した。2)HOIL-1はリン酸化を受けた活性型PKCに強く結合し、HOIL-1のE3活性欠失変異体がPKCのユビキチン化を抑制したことから、PKCの代謝に関与するE3である可能性が示唆された。3)HBxのHOIL-1結合部位はC末端近傍であり、この領域はHBxのトランス活性化能に重要な領域とオーバーラップしていた。4)HOIL-1に対するsiRNAを用いてHep3B細胞にて内在性HOIL-1をノックダウンすると、HBxのRSV-Luc活性はコントロールRNA発現時に比べ1.5~2倍上昇した。これは、HOIL-1がHBxのトランス活性化領域近傍に会合することでHBxのトランス活性化が抑制されることを示唆する。以上の結果から、HOIL-1は酸化型IPR2のみならず、活性型PKCやHBxのトランス活性化領域に会合し、その機能を調節する多機能性E3であることが示された。
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