• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

タンパク質品質管理を担うシャペロン依存型ユビキチンリガーゼCHIPの遺伝学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 15032263
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

小松 雅明  (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90356254)

研究分担者 村田 茂穂  科学技術振興機構, さきがけプログラム, 研究員 (20344070)
千葉 智樹  (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00311423)
キーワードユビキチンリガーゼ / タンパク質品質管理 / 分子シャペロン / 小脳失調 / ノックアウトマウス
研究概要

昨年度にすでにタンパク質品質管理ユビキチンリガーゼと想定されるCHIPのノックアウトマウスの作製に成功しており、このマウスについて解析を行った。このマウスは、外見上野生型の同腹仔に比して、体重が1/2〜2/3しかなく、多くが生後1週程度で死亡した。一部生き残ったものも、およそ生後5ヶ月ころからあきらかな筋力低下症状を示すようになった。またオス、メスとも生殖可能ではあるが、妊娠能力が低かった。現在この原因を解析するために詳細に組織学的検索を行っているところである。タンパク質品質管理の破綻と神経変性疾患の関連が現在非常に注目されているが、このCHIPノックアウトマウスにおいて特筆すべき表現型は、生後数ヶ月で小脳失調様の歩行を呈することである。しかし、現在のところ組織学的に異常タンパク質の蓄積や神経細胞死などは観察されていない。これはマウスの寿命が短いためにタンパク質の凝集が観察されにくいためかもしれない。この表現型をさらに観察しやすくするために、変性タンパク質に対する生体応答にどのように関わるかを個体で観察する目的で、ハンチントン舞踏病モデルマウスであるHDQ150(ポリグルタミン繰り返し配列を150含むhuntingtin)ノックインマウスおよび小脳失調モデルマウスであるLurcherマウス(GRID2 mutation)と、CHIP欠損マウスとの交配を進めており、現在CHIP欠損がマウスハンチントン舞踏病や小脳失調発症に及ぼす影響を観察中である。
また今年度は新たにCHIPと物理的、機能的に協調してはたらくHsj-1という分子を見いだした。Hsj-1はDnaJドメインとともにユビキチン結合モチーフであるUIMを併せ持ち、CHIPによる変性タンパク質のユビキチン化を促進するとともに、ユビキチン化タンパク質を受け取る機能を持つ。さらに興味深いことにHsj-1もCHIPと同様に神経細胞特異的な発現を示す。このことからCHIPとHsj-1が神経細胞における品質管理に連携して働いていることが示唆される。現在さらにHsj-1ノックアウトマウスを作製中であり、このマウスとCHIPノックアウトマウスの交配によりさらに神経細胞におけるタンパク質品質管理の重要性が明らかになることが期待される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Murata S, Chiba T, Tanaka K.: "CHIP : a quality-control E3 ligase collaborating with molecular chaperones."Int J Biochem Cell Biol.. 35(5). 572-578 (2003)

  • [文献書誌] Hirano Y, Murata S, Tanaka K, Shimizu M, Sato R.: "Sterol regulatory element-binding proteins are negatively regulated through SUMO-1 modification independent of the ubiquitin/26 S proteasome pathway."J Biol Chem.. 278(19). 16809-16819 (2003)

  • [文献書誌] Moriishi K, Okabayashi T, Nakai K, Moriya K, Koike K, Murata S et al.: "PA28gamma-dependent nuclear retention and degradation of hepatitis C virus core protein."J Virol. 77(19). 10237-10249 (2003)

  • [文献書誌] Mizushima T, Hirao T, Yoshida Y, Lee SJ, Chiba T, Iwai K et al.: "Structural basis of sugar-recognizing ubiquitin ligase."Nat Struct Mol Biol.. (in press). (2004)

  • [文献書誌] Yoshida Y, Tokunaga F, Chiba T, Iwai K, Tanaka K, Tai T.: "Fbs2 is a new member of the E3 ubiquitin ligase family that recognizes sugar chains."J Biol Chem. 278(44). 43877-43884 (2003)

  • [文献書誌] Tanahashi-Hori T, Tanahashi N, Tanaka K, Chiba T.: "Conditional knockdown of proteasomes results in cell-cycle arrest and enhanced expression of molecular chaperones Hsp70 and Hsp40 in chicken DT40 cells."J Biol Chem.. 278(18). 16237-16243 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi