研究概要 |
GADD34はDNA傷害性ストレス刺激で発現が上昇するタンパクとしてとられた。本年度はまず、ERストレスと呼ばれる数々のストレス刺激すなわち、Tg(タプシガルギン、ERからCa^<2+>の細胞質への流失)、Tm(ツニカマイシン)、DTTが非常に強くGADD34を上昇させることを見い出した。ERストレスによる蛋白合成阻害はよく知られているがその、律速酵素として、eIF2aがある。GADD34のwildあるいはノックアウト個体にこれらERストレスを作用させ,wild typeとノックアウトのMEFでeIF2aリン酸化を調べたところ、wild typeではタプシガルギン,DTTによるeIF2aリン酸化がすみやかに亢進し、またすみやかに元にもどるのに対し、ノックアウトのMEFではeIF2aリン酸化が遷延した。メチオニンラベルによる蛋白合成を計時的に観察すると、wild typeではタプシガルギン,DTTによる蛋白合成のシャットオフからの回復がすみやかにおこるのに対し、ノックアウトのMEFでは蛋白合成シャットオフからの回復が遅れた。Tm(ツニカマイシン)刺激による蛋白合成のシャットオフ、eIF2aリン酸化にはwild typeとノックアウトのMEFで差がなかった。また、ERストレスによるBip,CHOP(GADD153の発現上昇はGADD34ノックアウトではwild typeに比べて低下していた(FASEB J.2003).
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