研究概要 |
光/電子機能を持つ新しい固体媒体として,3次元的に架橋したナノヘテロ構造を持ち,水を多量に含む多糖類固体を提案し,その媒体中での光化学反応と分子拡散,電荷伝播を研究した.また,この固体を色素増感太陽電池へ応用した. この含水多糖類固体中に共存させた分子の電子移動反応や拡散を電気化学的に明らかにした.サイクリックボルタモグラム(CV),ダイオードアレー分光光度計を用いたポテンシャルステップクロノアンペロスペクトロメトリー,交流インピーダンススペクトロメトリーにより,小さい分子やイオンの拡散係数やこれによる電荷伝播は,水を多量に含んだアガローやカラゲニンの固体中でも水溶液中と同じように起こることを明らかにした. この多糖類固体中でRu(bpy)_32+光励起状態からメチルビオロゲンへの電子移動機構を解析した.アガロース固体中では,水溶液中と同じで,拡散・衝突による動的機構で進行し,速度定数も水溶液中と同じであった.しかしスルホン酸アニオン性基を持つカラゲニン個体中では動的機構に加えて,成分が動かずに反応する静的機構が含まれることが明らかとなった. この多糖類固体を,色素増感太陽電池の溶液部を固体化するのに利用した.水を含んだカラゲニン固体中の水を,I_3^-/I^-を含む有機媒体で置換して光電池特性を調べたところ,有機媒体と同様な特性を示した.
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