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2003 年度 実績報告書

光合成反応中心の分子機構の解明―新規な「光→電子」変換素子を目指して―

研究課題

研究課題/領域番号 15033212
研究機関筑波大学

研究代表者

小林 正美  筑波大学, 物質工学系, 助教授 (70234846)

キーワード光合成 / クロロフィル / クロロフィル a / クロロフィル d / 葉緑素 / シアノバクテリア / 光電荷分離 / 酸素発生
研究概要

1996年に群体ホヤ体内から発見された原核藻類Acaryochloris marinaは主要光合成色素としてクロロフィルd(Chl d)を持つ。Chl dは高等植物で機能するChl aよりも長波長の光を吸収する。A.marinaは他の藻類・シアノバクテリアと同様に、酸素発生型の光合成を行い、二つの光化学系(PS1&PS2)を持つ。酸素発生型の光合成生物は、これまで例外なくChl aが主要色素だと見なされてきた。我々は、PS1およびPS2の反応中心には、それぞれChl a'(Chl aのエピマー)とフェオフィチン a(Phe a。Chl aのMgが脱離して2個の入った色素)が鍵色素として機能していると主張してきた。前者はPS1の電子供与体P700として、また後者はPS2の一次電子受容体として機能している。
A.marinaには、微少量ではあるがChl aが存在することから、我々はA.marinaにもChl aとPhe a'が鍵色素として存在すると推定した。ところが、A.marinaにはPhe aは検出されたものの、Chl a'は検出されなかった。代わりにChl d'が検出された。興味深いことに、主要色素のChl dからMgが外れたPhe dは検出されなかった。よって、A.marinaのPS1電子供与体P740はChl a'ではなくChl d'であり、PS2の反応中心は他の酸素発生型と同じくa型クロロフィルからなると強く示唆された。白熱灯の光強度を変えて培養しても、鍵色素のモル比Chl d'/Phe aは、ほぼ一定のままであった。すなわち、A.marinaのPS1/PS2比は白熱灯の光強度に依存しない。これは、光強度によってPS1/PS2が大きく変化するシアノバクテリアは大きく異なる。現在、この原因を探るべく、より短波長の光に富む蛍光灯で培養したA.marinaの色素分析を行っている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] M.Mimuro et al.: "Identification of the primary electron donor in PSII of the Chl d-dominated cyanobacterium Acaryochloris marina"FEBS Letters. 556. 95-98 (2004)

  • [文献書誌] M.Akiyama et al.: "Stoichiometries of chlorophyll d'/PS1 and chlorophyll a/PS2 in a chlorophyll d-dominated cyanobacterium A.marina"J.Phycology. 52. 31-35 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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