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2004 年度 実績報告書

水素結合組織体におけるプロトン移動フォトクロミズム

研究課題

研究課題/領域番号 15033216
研究機関東京大学

研究代表者

小川 桂一郎  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50114426)

研究分担者 原田 潤  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (00313172)
キーワードフォトクロミズム / プロトン移動 / プロトン互変異性 / 水素結合 / 会合 / ヒドロキシキノリン / ヒドロキシアクリジン
研究概要

プロトン移動は化学や生命科学において重要な役割を果たしている.プロトン移動によって引き起こされるプロトン互変異性はπ共役系の組替えを伴うため,物質の色や性質の変化を引き起こすことがある.これが光照射によって起こればフォトクロミズムが発現することになる.私達は今回,2-ヒドロキシフェナジン(1),3-ヒドロキシアクリジン(2)および7-ヒドロキシキノリン(3)の2-メチルテトラヒドロフラン(MTHF)溶液に低温で紫外光を照射すると,著しい色変化が起こることを見出した.すなわち,1のMTHF溶液に,77Kで紫外光(高圧水銀ランプ,365nm)を照射したところ,黄色の溶液が赤紫色に変化した.紫外可視吸収スペクトルでは,光照射前はOH形に由来する吸収だけが見られるのに対して,光照射後はNH形に由来する吸収帯が見られた.すなわち,光照射によってNH形が生成している.光照射停止2時間後にはNH形に由来する吸収帯がほぼ消失した.2もほぼ同様の挙動を示した.3の光着色体は1,2とは異なり,77Kでは減衰は示さなかった.これらのフォトクロミズムの特徴は,プロトン移動が分子間で起こっていることである.これらの分子はOH基とN原子が離れているため,プロトン移動は分子内では起こりえない.それにもかかわらずプロトン移動が進行したことは,これが分子間で進行していることを示している.したがって,温度の低下に伴って分子間水素結合による会合体が形成され,その中で分子間プロトン移動が起こったものと考えられる.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Solid-state thermochromism studied by variable-temperature diffuse reflectance spectroscopy : A new perspective on the chromism of salicylideneanilines.2004

    • 著者名/発表者名
      T.Fujiwara
    • 雑誌名

      J.Phys.Chem.B 108

      ページ: 4035

  • [雑誌論文] X-ray diffraction analysis of nonequilibrium states in crystals : Observation of an unstable conformer in flash-cooled crystals.2004

    • 著者名/発表者名
      J.Harada
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc. 126

      ページ: 3539

  • [雑誌論文] Torsional vibration and central bond length of N-benzylideneanilines.2004

    • 著者名/発表者名
      J.Harada
    • 雑誌名

      Acta Cryst.Sect.B 60

      ページ: 578

  • [雑誌論文] Conformational change of N-benzylideneanilines in crystals.2004

    • 著者名/発表者名
      J.Harada
    • 雑誌名

      Acta Cryst.Sect.B 60

      ページ: 589

  • [雑誌論文] UV-vis absorption spectra of powdered materials : Direct measurements by optical waveguide spectroscopy2004

    • 著者名/発表者名
      K.Ogawa
    • 雑誌名

      Chem.Lett. 33

      ページ: 1446

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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