研究課題/領域番号 |
15033217
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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研究分担者 |
中村 恒夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30345095)
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キーワード | 光触媒反応 / 酸化チタン / 可視光応答 / 窒素ドープ / 炭素ドープ / バンド計算 / バンドギャップ / 酸素欠陥 |
研究概要 |
可視光に応答性のある酸化チタンを得ることは応用上非常に重要である。最近、酸化チタンに窒素、炭素をドープすることにより、吸収端が可視光領域までシフトするとの実験結果が報告された。そこで窒素、炭素ドープした酸化チタンについて、その構造と電子状態の関連を明らかにする目的でバンド計算を行った。FP-LAPW法でのTiO_2、炭素ドープTiO_<2-x>C x(x=0.25)、窒素ドープTiO_<2-x>N_x(x=0.25)の状態密度は、炭素ドープした場合、炭素原子の2p軌道からなるバンドが酸素原子の2pバンドの前後に現れ、特にC2pバンドがO2pとTi3dの間のバンドギャップを埋める形になった。窒素によるドープの場合も同様にN2p軌道がバンドギャップ中にあらわれた。バンドギャップは酸化チタンについては1.48eV、炭素ドープ、窒素ドープした場合、それぞれ0.45eV、1.02eVと得られ、単純にバンドギャップの差からみると、炭素ドープした場合の方が吸収端はより長波長へシフトすると予測される。一方、O2p軌道からなる価電子バンドとの重なりをみると、N2p軌道の方がC2p軌道よりも大きい。次に酸化チタンに多く存在すると言われる酸素欠陥の影響を調べた。酸素欠陥を導入した場合、状態密度には顕著な変化は見られず、バンドギャップは1.24eVと少し変化した。酸素欠陥と炭素ドープが共存した場合、O2p軌道がバンドギャップを完全に埋める結果となった。一方、酸素欠陥と窒素ドープが共存する場合、N2p軌道がバンドギャップ中にあらわれ、バンドギャップは0.58eVと大きく変化した。以上の計算結果から酸素欠陥と窒素ドープが共存した場合、バンドギャップに最も大きな影響を与える可能性があることがわかった。
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