三次元最密充填構造を有するコロイド結晶は、特定の波長領域の光が伝搬することが許されない光の禁制帯(フォトニックバンドギャップ)を有する可能性がある。このような材料は、白色光下で特定の波長の光を反射するため、特定の色が観測される。これまでの研究において、そのコロイド結晶の隙間を利用してゲルを調整すると、得られたポーラスゲルは環境の変化に伴って素早く体積を変化し、色が変わることを見出してきた。本研究は、そのようなソフトフォトニック結晶の特性を利用して、特定の物質を検知するセンサーを調製する予定である。具体的には、特定の物質に対して体積変化を示すようなゲルをコロイド結晶を鋳型に調製し、特定物質種および濃度に素早く反応して色を変化させるようなセンサー材料への応用を目的とした。 これまでの研究において、特定のイオンおよびグルコースを検知して、構造色を変化させるゲルを構築することができた。本センサーに利用する構造色変化を利用した光学的検知方式は、従来のセンサーのようなデバイスに大きな電圧を負荷する電気化学的方法や強い光源を利用した方式とは異なり、デバイスにおけるエネルギーのやりとりがほとんどないことから、省電力で材質安定性の高いシステムの開発が可能となる。
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