研究概要 |
メタンは天然ガス・メタンハイドレート、さらにはバイオマスからも得ることができる重要な資源である。メタンは炭化水素の中では最も活性化しにくい分子のひとつであるが,メタンを燃料としてだけではなく化学原料として有効に利用するには、何らかの方法で分子を活性化し、化学反応へ導かなくてはならない。我々はこれまでに,シリカアルミナ表面上の活性種が光エネルギーを吸収し励起し,メタン分子が表面光励起サイトからその励起エネルギーを吸収しメタンのカップリング反応(2CH_4→C_2H_6 + H_2)が進行することを初めて見いだしてきた。この反応では常温で酸化剤を必要とせずにメタンからエタン等のカップリング生成物を得ることができ,同時に次世代燃料として期待される水素を得ることができる。我々はその発見以来、本反応に有効な光触媒をいくつか開発してきた。今年度は、シリカ担持マグネシアの光発光種と光触媒活性との相関を検討し,これまでの知見を含めて考察した。 シリカ担持マグネシアはメタン直接転化反応に活性を示し,これまでのシリカアルミナやシリカ担持ジルコニアと同等かそれ以上の活性であった。Mg担持量と活性の関係からシリカ上に高分散されたMg種が活性種であることが示唆された。 高分散されたMg種は光励起し微細構造を伴うりん光発光スペクトルを示した。りん光発光強度、その微細構造から得られる振動エネルギー、メタンによる消光効率はこれらシリカ系光触媒の場合に共通して同様であり,表面の高分散種のM-O-Si結合が発光サイトであることが示唆された。また、発光強度と光触媒活性によい関係が確認された。 これらのことより,高分散されたMg発光種はメタンの直接転化反応の主な活性種であることが示唆され,シリカ上に高分散されたMgやAl, Zrなどの異元素は同様な光活性を発現させることが示唆された。
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