研究課題/領域番号 |
15033238
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江口 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (00168775)
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研究分担者 |
菊地 隆司 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40325486)
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キーワード | 色素増感太陽電池 / 複素インピーダンス解析 / 酸化チタン / 内部抵抗成分 / 界面電荷移動 / 光照射強度 / 色素吸着量 / 電解質濃度 |
研究概要 |
色素増感太陽電池の研究開発には革新的材料の開発が必要であるが、まだ構成材料やその接合部の材料設計の面で多くの未開発の部分が残されており、その可能性を追求し明確にすることは重要な課題である。本研究ではこの色素増感太陽電池の開発の最重要課題を色素、半導体、電解質のそれぞれの材料開発として位置づけ、材料探索により性能向上を図る。複素インピーダンス法を適用し、太陽電池の光化学反応、電気化学的反応、物質移動などの過程を分離測定し、さらに参照電極との組み合わせや半電池の構成など電気化学的手法を組み合わせて各抵抗成分の分離測定手法を確立する。 標準的な色素増感太陽電池のインピーダンス測定の結果、オーミックな抵抗成分R_0と界面電荷移動に起因する円弧成分ω_1〜ω_4の少なくとも5種類の抵抗成分が内部抵抗成分として存在することがわかった。種々のセルを構成し、各成分の帰属を行った結果を以下にまとめる。R_0およびω_1は、導電性基板をかえた実験により、それぞれ導電膜中の電子移動、導電膜/TiO_2界面における電子移動に起因する成分と帰属した。ω_2は、電極調製法をかえて実験を行った結果、TiO_2粒子界面の電子移動に起因する成分に帰属できた。ω_3はTiO_2表面に吸着する色素量が増した場合や、電池に照射する光強度を増すなど、色素からTiO_2への注入電子量を増加させると縮小するため、ω_3はTiO_2/電解質界面に起因し生じる円弧であり、この界面で起こる現象は電池性能を低下させる逆反応であるため、円弧の拡大が起電力、光電流の増加と関連しており、太陽電池性能の向上のためには、この抵抗成分の最適化が必要となることがわかった。ω_4は電解質中のI_3^-の濃度が低下した場合や、電解質層の厚みが増した場合に円弧の拡大が見られたことから、電解質中のI_3^-の移動が関わる成分であることが考えられる。
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