• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

超親水性伝熱面の開発と熱エネルギー高効率輸送

研究課題

研究課題/領域番号 15033251
研究機関九州大学

研究代表者

高田 保之  九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70171444)

キーワード酸化チタン / 超親水性 / 相変化 / 接触角 / 沸騰・蒸発 / 紫外線 / スパッタリング
研究概要

酸化チタンの超親水性を利用すると,沸騰・凝縮などの相変化を伴う伝熱の促進を行なうことが可能である.本研究では,RFマグネトロンスパッタ法によりステンレス基材上に作成した試料を用いて,液滴蒸発実験による伝熱特性試験を行った.
伝熱ブロックは直径30mmのステンレスの丸棒であり,端面上に熱伝導グリースを塗布した上で,100mm×100mmのステンレス平板試料を載せた.注射器から単一の液滴を加熱伝熱面上に滴下し,その蒸発の様相を高速度カメラにより撮影した.液滴径2.16mmで実験を行った.落下液滴のウェーバー数は,5.175である.ウェーバー数が30以下であるので,ライデンフロスト温度を超えても,伝熱面との衝突による液滴の分裂は生じない.また,すべての実験における液滴温度は約20℃である.使用したステンレス試料は,以下の3種類である.以下の説明では,それぞれを,Case A, B, Cと記して区別する.
Case A : TiO2スパッタ試料・超親水化状態,接触角5°
Case B : TiO2スパッタ試料・疎水化状態,接触各52°
Case C:コーティングなし,仕上げはCase B, Cと同様,接触角96°
100℃以下の蒸発時間を比べてみると,Case A, B, Cの順に蒸発時間が短い.Case Aの蒸発時間はCase Bのおよそ半分であり,Case Cのほぼ1/3である.あきらかに表面が親水化することにより,蒸発時間が短くなっている.また,濡れ限界温度に大きな違いが現れる.それぞれの濡れ限界温度はCase A:258.15℃,Case B:236.19℃,Case C:229.07℃であり,Case Aの濡れ限界温度は他の2つのケースよりも20K以上高い.
本研究により作成した酸化チタン被覆金属伝熱面は,密着性においても熱的特性においても優れた性能を示した.UV照射時の試料(接触角5°)が最も優れた伝熱特性を示すことがわかった.また,濡れ限界温度もUV照射時の試料が最大の値を示した.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 日高澄具, 高田保之, 山本弘志, 山下秋満, 伊藤猛宏: "プラズマ照射した金属表面の濡れ性変化と液滴蒸発"日本機械学会論文集(B編). 69-678. 437-444 (2003)

  • [文献書誌] Y.Takata, S.Hidaka, A.Yamashita, H.Yamamoto: "Evaporation of Water Drop on a Plasma-irradiated Hydrophilic Surface"Proceedings of the 5th International Boiling Heat Transfer Conference. (2003)

  • [文献書誌] Y.Takata, S.Hidaka, A.Yamashita, H.Yamamoto: "Plasma-irradiated Hydrophilic Surfaces and its Applications to Phase Change Heat Transfer"Proceedings of the 2nd International Conference on Heat Transfer, Fluid Mechanics and Thermodynamics-HEFAT2003-. (CD-ROM). TY1 (2003)

  • [文献書誌] 高田保之: "超親水性による伝熱促進"会報 光触媒. No.11. 56-63 (2003)

  • [文献書誌] Y.Takata, S.Hidaka, M.Masuda, T.Watanabe: "Superhydrophilic Heat Transfer Surface Coated with Titania by RF-Magnetron Sputtering"Proceedings of the 8th UK National Heat Transfer Conference, Oxford. (CD-ROM). (2003)

  • [文献書誌] Y.Takata, S.Hidaka, A.Yamashita, H.Yamamoto: "Improvement of Surface Wettability by Plasma Irradiation"Proceedings of the Fourth Interenational Conference on Compact Heat Exchangers and Enhancement Technology for the Process Industries. 305-309 (2003)

  • [文献書誌] 高田 保之(分担執筆): "図解 光触媒のすべて-超親水を利用した伝熱促進-(監修 橋本和仁,藤嶋昭)"工業調査会. 308 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi