1.アミノブチルシロキサン修飾したITO電極上に固定化したクエン酸保護金ナノ粒子は、電位ステップに対し、溶液中アニオンに依存して異なった可視透過吸収過渡応答を示すことがわかった。吸着性が強い塩素イオン存在下では、溶液攪拌の影響を受けることなく、応答の半減期が100sを超える長い時間となることがわかった。 2.電極上の金ナノ粒子のごく近傍に色素分子を配置したとき、プラズモン吸収波長領域で特異的なスペクトルが得られる現象が起こる。ビオロゲンを含む単分子膜層と金ナノ粒子との様々な組み合わせを構成し、ビオロゲンの酸化状態やプラズモン光照射の様々な条件下での吸収ペクトルを測定して、特異性出現の要件とスペクトル特性を検討した。例えば、カルボキシル末端のビオロゲン単分子膜層上に金粒子を固定化すると、正常なビオロゲンのスペクトルが得られる一方で、粒子自身の充放電応答は消失した。また、系によっては、金ナノ粒子修飾によるスペクトル変化が逆符号になることがわかった。 3.吸脱着活性基を末端に持つチオール分子で表面修飾した粒径2.5nmの金ナノ粒子を新たに合成し、Au(111)電極表面上での電位応答動的挙動を検討した結果、粒子の部分的吸脱着を起こすことに初めて成功した。また、電極表面上における粒子の二次元密度に依存した吸脱着応答と末端基配向変化応答とが出現することが明らかになった。表面修飾ナノ粒子が示すこの動的応答は、修飾分子の鎖長や金属コアの大きさに強く依存した。 4.様々な混合比で吸着させたアルカンチオールとジチオールからなる混合SAM膜上への金ナノ粒子固定化量が、ジチオールの割合が減少するにつれて格段に大きくなる混合比領域があることが、電位変調紫外・可視反射分光測定から明らかになった。また、固定化量が増えても、あらわな凝集は起こらないことがわかった。
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