研究概要 |
酸素および過酸化水素存在下でのスーパオキシドイオンの電気分析 一般に活性酸素種は,短寿命かつ反応性に富み,しかも低濃度の存在では,反応性をはじめとする化学的性質の解明は困難な状況であり,新たな手法や原理に基づいた検出法の確立が強く望まれている。本研究では,活性酸素種のなかでも比較的寿命が長い,O_2^<・->とH_2O_2との酸素存在下での水溶液中での電気化学的分別定量法を開発する。電気化学的手法とくにボルタンメトリーは,これらの活性種の酸化還元電位が異なるばかりでなく,用いる作用電極の種類により過電圧も大きく異なることが期待される。作用電極として微小の白金、金、グラシーカーボン(GCE)を用いて検討したところ、ボルタンメトリー測定の結果、GCE上でのH_2O_2の酸化および還元のどちらに対しても過電圧は大きく、一方O_2^<・->の酸化反応は容易に生じることを明らかにした。したがって、GCEを用いると酸素および過酸化水素が存在しても、測定電位を選択することによりO_2^<・->を定量可能なことを見出した。図2に酸素存在下、直径33μm GCE上0V vs AglAg^+での電流応答を示す。O_2^<・->ソースとしてKO_2を添加したとき(図2a)数十秒にわたって明瞭な酸化電流応答が見られ、O_2^<・->の不均化がこのpHでは遅いことが分かる。一方SOD存在下(図2b)では電流応答は見られず、aの酸化電流がO_2^<・->によることが確かめられた。また、この電位ではH_2O_2の電流応答はほとんど見られず(図2c)、H_2O_2が共存していても、O_2^<・->の定量が可能である。
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