活性酸素種の精確でより簡単な分別定量法は、生態関連科学や光触媒分野において待望されている。しかしながら過酸化水素以外の活性酸素種は中性水溶液中でさえ、寿命がきわめて短く、しかも活性種同士の反応や相互生成の問題もあり低濃度の分別定量は容易ではない。そのために新たな手法や原理に基づいた検出方法の確立が強く望まれている。ここでは、活性酸素種の中でも比較的寿命の長いスーパーオキシドイオンを過酸化水素および酸素存在下での水溶液中の電気化学分析法を開発し、酸化チタン光触媒の光励起初期反応過程で発生する微量の酢スーパーオキシドイオンの定量法へと応用した。 グラシーカーボン電極を用い、設定電位0Vでスーパーオキシドイオンの電流応答の測定を行なったところ、得られた酸化電流は、他の活性種の妨害を受けずにスーパーオキシドイオンの濃度を決定するのに有効であることが確認できた。同様の方法で、酸化チタン懸濁溶液に光を照射したところ、酸化電流の増加が見られ、正孔捕獲剤である2-プロパノールを添加すると酸化電流がさらに増加した。この電気化学的手法が酸化チタン光触媒から生成した微量のスーパーオキシドイオンの定量に対し有効であることを見出した。また光照射を停止した後の酸化電流の減少曲線を解析することによって求めたスーパーオキシドイオンの不均化反応の二次反応速度定数を求めることができた。 次に酸化チタン光触媒により発生する光照射時のスーパーオキシドイオンの定常濃度を求めた。市販の酸化チタンの種類により生成濃度は大きく依存する結果が得られた。2-プロパノールの添加によりすべてのTiO2種の中で、P25に2-プロノールを添加したときの02-の定常状態濃度が最も大きく、4.7μMの値が得られた。これは一般的に言われているP25の光触媒活性の高さと一致する傾向となった。
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