研究概要 |
我々はH14年度まで、LH2やReaction Centerに見られる近接と接触を制御可能な形で実現出来ること、同じビルディングブロックから合成出来ること、および、最終的にこれを電極または半導体界面に結合出来ること、と言う三条件を満たす新しいモデル系の開発を目指し、メソ位に可能な限り短いアルキル鎖を持った、コンパクトなポルフィリンを側鎖とするアミノ酸Por^<M,X>(M=H2)を合成して来た。また、このポルフィリンアミノ酸を縮合させてオクタマーまでのメタルフリー及び亜鉛ポルフィリンオリゴマーBoc-(Por^<M,S>)_8-OBu^t:M=H2,Zn)を合成して来た。 H15年度は、1)ビスポルフィリン以上の全ての化合物がクロロフォルムやベンゼン中で、分子内ポルフィリン間励起子相互作用に基づく吸収バンドの分裂と円二色性を示す。これらのスペクトルからポルフィリン相互配置を推定するプログラムを開発した。このプログラムを用いた計算から、Boc-(Por^<M,S>)_2-OBu^tではポルフィリンはface-to-faceスタックを、Boc-(Por^<M,S>)_4-OBu^tはBoc-(Por^<M,S>)_2-OBu^tの構造を基本としたdimer of dimer構造を、また、Boc-(Por^<M,S>)_8-OBu^tはヘリックス構造をとることが明らかになった。2)これらの化合物のアンテナクロロフィルモデルとしての性能を引き出すことを目的に、Boc-(Por^<M,S>)_2-OBu^tを用いて種々の2坐配位子共存下蛍光スペクトルを測定し、蛍光収率を挙げる条件を探索した。その結果、エチレンジアミンにより、ポルフィリン間のface-to-faceスタックが解け、モノマー並の蛍光強度を回復出来ることを見出した。3)Por^<M,X>合成過程で見出した反応条件をもとに、種々のアルキルアミン鎖を持つポルフィリン誘導体Por^<M,N>-Rを合成し、その薄膜のエバネッセント光吸収スペクトル、および、蛍光スペクトルをスラブ型導波路上で検討し、J-aggregate探索を行った。その結果、ブチルアミン誘導体が有望であることを見出した。
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