研究課題/領域番号 |
15033277
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研究機関 | (財)神奈川科学技術アカデミー |
研究代表者 |
石橋 孝章 財団法人神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (70232337)
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研究分担者 |
上塚 洋 財団法人神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (90321900)
笹原 亮 財団法人神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (40321905)
大西 洋 財団法人神奈川科学技術アカデミー, 極限表面反応プロジェクト, 研究員 (20213803)
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キーワード | 二酸化チタン / ケルビン力顕微鏡 / ルチル / アナターゼ / 走査型トンネル顕微鏡 / 色素単分子膜 / 赤外可視和周波発生分光法 / トリメチル酢酸イオン |
研究概要 |
本研究の目的は、アナターゼ型およびルチル型二酸化チタン結晶の表面で起こる光触媒反応と増感色素による光起電力発生の機構をナノ〜単一原子分子のスケールで解析することである。本年度の主な3つの成果を以下に述べる。 (1)ナトリウムを蒸着したルチル型二酸化チタンのKPFM観測 ナトリウム原子を蒸着したルチル型二酸化チタン(110)面のケルビン力顕微鏡を用いて原子スケール空間分解能で観測した。(図1)その結果、仕事関数はナトリウム上では、周囲の二酸化チタン基板より0.2eV小さいことがわかった。またナトリウムの吸着による表面の仕事関数の減少は、ナトリウム原子近傍の数nmにおよぶことがわかった。 (2)ルチル型二酸化チタン上のカルボン酸光触媒反応のSTM観測 ルチル型二酸化チタン(110)単結晶表面上に吸着したトリメチル酢酸の光触媒反応をSTM用いて研究した。図2にSTM像を示す。STMの結果を、Henderson等のTPDおよびEELSの結果と合わせて考察した。結果、位置情報を含めた正孔および電子の関与する反応メカニズムに関して詳細なモデルを提案した。 (3)ルチル型二酸化チタン上の秩序性のある色素単分子膜の作製法の開発とSFG分光による評価 ルチル型二酸化チタン単結晶の(110)面に色素単分子膜を、超高真空化で予め吸着させたトリメチル酢酸イオンとカルボキシル基を持つ色素分子の溶液中での交換反応を溶液中によって作製した。作製した単分子膜は赤外可視和周波(SFG)分光法を用いて評価した。図3に色素としてレチノイック酸を用いた場合のSFGスペクトルを示す。基板をトリメチル酢酸イオンで被わない場合には、SFGスペクトルの強度が約100分の1に減少する。吸着トリメチル酢酸イオンの前吸着によって、色素膜の秩序が向上することがわかった。
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