1 衝突とレーザー場を同じレベルで扱い緊密結合方程式を解く方法を強レザー場中の(C^<6+>+O^<5+>)、(N^<7+>+C^<3+>)衝突系に適用した。(1)これらの系はX線レーザー源として有望である。(2)始状態と励起状態のエネルギー差に一致した振動数で励起が起こり、電子捕獲状態への遷移はこの状態を経由して起こる。(3)断面積に励起状態の過飽和による振動構造が現れる。(4)レーザー照射時間、衝突時間を調節することにより目標とする電荷、電子状態のイオンを生成することができる。(5)遷移確率の時間依存性にドレスト状態形成に起因する振動が現れる。(6)レーザーの入射方向により遷移する状態が変る。(7)(N^<7+>+C^<3+>)衝突系では衝突とレーザー場の協奏過程により複雑な反応の様相を示すことなどがわかった。 2 フロッケ理論を用いDressed Quasi Molecular States(=DQMS)を作り、反応をDQMS間の遷移として扱うことにより極めて強いレーザー場にも適用できる新しい方法を開発し、(He^<2+>+H)衝突系に適用した。(1)反応に関与する光子数がわかり物理的イメージがつかみやすい。(2)レーザー強度および衝突径数が大きくなるにつれ擬交差点のエネルギー差が大きくなり、カップリングのピークは低くなだらかになる。(3)衝突エネルギーが小さいほどレーザーによる遷移は大きい。(4)電場強度が大きくなるにつれ始状態と光子数の差が大きい状態が遷移に寄与するようになるが、その遷移は小さい核間距離で起こるため少ない光子数のDQMSを含めれば十分である。(5)衝突の結合項が小さな値であっても電場強度が大きくなると大きな寄与をする。(6)電場強度が大きいとレーザーによる遷移と衝突による遷移が分離できることなどがわかった。これらの結論はDQMSCC法の有用性を明らかにした。
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