研究課題/領域番号 |
15035208
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 博明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (60135754)
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研究分担者 |
小池 文博 北里大学, 医学部・物理学教室, 助教授 (90095505)
長友 英夫 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (10283813)
三間 圀興 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (30033921)
河村 徹 大阪大学, レーザー技術総合研究所, 研究員 (10370214)
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キーワード | 原子・分子物理 / プラズマ・核融合 / 放射線・X線・粒子線 / 量子ビーム / 相対論プラズマ / プラズマ偏光分光 |
研究概要 |
超高強度レーザー技術の進展は10^<17>W/cm^2を超える超高強度電磁場の発生を可能にした。このような超高強度レーザーと物質との相互作用を介して、高エネルギーの電子やイオン、数10keVのX線放射が生成される。本研究ではサブピコ秒X放射の効率に関する研究に加えて、偏光X線への展開を視野にいれた研究も実施した。 超高強度レーザー生成プラズマ中のエネルギー輸送に関する実験研究はPWレーザーシステムを用いて行われた。塩素を観測対象として、それを含む3層ターゲットからのX線放射がX線分光器とX線単色カメラを用いて測定された。多層ターゲットを用いることによってターゲットの深さ方向の温度プロファイルが、単色カメラを用いることによって加熱領域の拡がりが得られる。実験の結果、非常に浅い領域(ターゲット表面から約0.5μm)は650eVにまで加熱されているが、より深い領域(>5μm)では100eV程度の温度に低下していることが分かった。この結果から推定した熱波の侵入深さは、レーザー照射強度から予測される約500keVの高速電子の古典的侵入長に比べて非常に短いものとなり、異常輸送状態にあることが判った。 レーザーとプラズマの相互作用中に生成される高速電子は非常に非等方的な速度分布を持つ。このため、原子の磁気量子数はそのような非等方的な高速電子によって選択的に励起される。その結果、放射されるX線は偏光する。サブピコ秒の偏光X線は非等方的な化学反応や磁気デバイスの超高速過渡現象の研究に有効である。このような背景から、超高強度レーザー生成プラズマから放射されるHea線の偏光度を実測し、プラズマ表面と内部において偏光度が異なることを明らかにした。この結果は、粒子コードにより説明できた。
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