研究概要 |
ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(O)錯体Ni(cod)_2を用いた脱ハロゲン化重縮合により,ポリ(1,10-フェナントロリン-3,8-ジイル)(PPhen)及びその5,6-ジアルコキシ誘導体(PPhen(5,6-OR))を合成した。また,これらのポリマーの構造をIR, NMR,元素分析により確認した。電気化学的測定により,これらのポリマーが電子受容性のポリマーであることが分った。また,これらの長鎖π共役系を有するポリマー配位子はルテニウムや銅等と金属錯体を形成することが分った。ルテニウムとの金属錯体においては,PPhenに基づく紫外可視(UV-vis)吸収が353nmに見られ、またMLCT吸収帯が440nmに見られた。 さらに,PPhen系ポリマーの新しい展開をはかるために,ポリ(2,2'-ビピリジン-5,5'-ジイル)において2,2'-ビピリジル間が-N=N-基,-O-基,-NHCONH-基で結ばれた,新しい長鎖π共役配位子を合成した。-N=N-基で結ばれたポリマーはAg^+/Agに対して-1.38Vで還元され,最も電気化学的還元を受け易い長鎖π共役配位子であることが分った。また,チオフェンとチアゾールから成る位置規則性電荷移動型共重合体を合成し,この共重合体中の動的性質を持つ電荷による光学的物性及び固体秩序構造形成能を有らかにした。
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