太陽質量の8倍以上の初期質量を持つ重い恒星が進化を終えるとき、中心に形成された鉄の核が重力崩壊しII型の超新星爆発が起こる。特に、初期質量が太陽質量の40倍程度以上だと、ブラックホールが誕生すると考えられている。このような現象を、現実的な問題設定のもとで調べた研究は皆無である。本課題においては、高速回転しながら重力崩壊する大質量星の中心核がブラックホールを形成する条件や形成過程を、現実的初期条件を設定し、最近完成させた高精度・一般相対論的数値流体コードを用いたシミュレーションによって明らかにすることを目的としている。 今年度は研究計画通りにシミュレーションを実行し、ブラックホールが形成される条件を調べた。形成される条件は、高密度核物質の状態方程式や重力崩壊する天体の角運動量に強く依存するが、その依存性を明らかにした。具体的には、(i)状態方程式は密度が核密度付近のある値を超える急激に硬くなるが、その閾値の密度が小さいほどブラックホールが形成され難い、(ii)同じ質量でも、角運動量が大きいほどブラックホールが形成され難い、ということが分かった。さらに、高速回転重力崩壊においては、ブラックホール回りに大質量のディスクが形成されるであろうことも示唆された。得られた結果を現在論文にまとめている際中である。その他、研究課題に密接に関連する研究も同時に行ない、数編の論文として公表した。
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