研究概要 |
マイクロクェーサーとして分類される特異な銀河系内ブラックホール候補星GRS1915+105のX線強度の時間変動、米国のX線天文衛星である「RXTE」のデータを使い研究した。特に、時間のずれをエネルギーの関数として求めた。その結果、エネルギーの高いX線ほど早く変動することを発見した。この結果を説明するために、観測されるX線は、ブラックホール近傍あるいはジェットの根本で放射されるべき関数型のエネルギースペクトルを持つX線が周辺に存在する比較的低温電子によりコンプトン散乱されるというモデルを提唱した。このモデルを使って、X線のエネルギースペクトルとX線の時間変動を同時に説明できることを示した(Ohkawa, Kitamoto & Kohmura, 2005, ApJ, 2005)。また、間欠的に放出されるジェットが、現象論的であるが、どのように放出されているのか議論することができた。 X線は波長が短いので、口径の小さい望遠鏡でも原理的に高い分解能を持たせることができる。そのとき問題になるのは望遠鏡や鏡の形状誤差である。我々は、可変形状鏡と波面センサーを使った閉ループ制御を行い超高精度X線望遠鏡を実現するための開発研究を進めている。可変形状鏡をX線用に改良し、また、実験用のX線発生装置の準備も整った。また、可視光ではあるが、波面センサーと可変形状鏡で閉ループ制御を実現した。この研究では特に、X線での性能評価実験を進めるための、真空仕様の望遠鏡鏡筒を製作した。望遠鏡内でX線源からのX線をCCDで検出することに成功した。
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