気球を用いて天体観測を行う際に、必要となる天体を追尾する制御システムを構築している。観測器が向いている方向を知るためのセンサーとして、2軸磁気センサーを用い、観測器の方位角を計測し、観測器が指向したい方向との差角を計算させ、リアクションホイール、より戻しモーターをアクチュエーターとして用いた観測器の方向制御を行う。 磁気センサーの出力の取り込み、およびアクチュエーターへの出力信号の生成は、PC/104規格のモジュールを介してLinux OSの搭載されたワンボードCPUを用いて行った。それぞれの特性試験および性能評価を行い、一通りのシステムを完成した。今後、指向精度を向上させるための制御回路のパラメータの調節および制御則の見直しなどを行う予定である。また、気球を用いて、分角程度で天体観測を行うためには、高精度の方位角センサーが必要となる。高精度の方位角センサーの一つとして、スターカメラを用いた方位角センサーが考えられる。このため、星をカメラで撮影し、情報処環を行うことで方位角を出力するようなスター方位角センサーの構築をテーマとして研究を行った。今年度は、実際に気球に搭載したCCDカメラで得られた、星の画像を用いて、画像から方位角を求めるアルゴリズムの開発を行った。開発したアルゴリズムを用い、画像の分解能と方位角の決定精度の関係を調べ、カメラのNTSC出力をキャプチャーボードに取り込むことで数分角の精度で方位角が決定できることを実証できた。今後、ハードウエアの構築を行い、実際に気球に搭載できるシステムの完成を目指す予定である。
|