研究課題/領域番号 |
15037212
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
関本 裕太郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (70262152)
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研究分担者 |
中井 直正 国立天文台, 電波天文学研究系, 教授 (80192665)
幸田 仁 国立天文台, 電波天文学研究系, 日本学術振興会特別研究員・(PD)
立松 健一 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (40202171)
中西 康一郎 国立天文台, 電波天文学研究系, 研究機関研究員
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キーワード | ブラックホール / サブミリ波受信機 / 超伝導技術 |
研究概要 |
我々は、NGC4258などの巨大ブラックホールの周りの円盤、特に水メーザーの発生領域の温度・密度を明らかにすることを目標としている。今年度は、サブミリ波受信機が観測周波数385-430GHzを検出できるように局部発振器を整備した。来年度以降、この波長で選択的にトレースされる暖かい(温度〜100K程度)円盤ガス物質の質量を明らかにする予定である。サブミリ波多輝線での観測を通して、メーザー源となるガスの物理状態(温度、密度、質量)を調べ、それら微視的物理状態からガス粘性による質量降着メカニズムに制限をつけ、降着円盤の進化を研究する。さらに、サブミリ波水メーザーの探査をおこなう。サブミリ波水メーザーは、従来の22GHzメーザーに比べて高温領域つまり中心近傍で放射されると予想されており、見つかればブラックホールの質量の精度を高めることが可能となる。 観測は、南米チリの10mサブミリ波望遠鏡に低雑音サブミリ波受信機を搭載しておこなう。本年度は、この受信機は、量子限界の数倍程度と世界最高レベルの性能達成のために改良をおこなった。そのために高効率な光学系や自重変形を抑えるセンターパイプ他、安定度を高めるために様々な工夫を凝らした。望遠鏡搭載時におけるビームの形やシステムの安定性を評価した。さらに490GHzにおける試験的な観測もおこない、巨大ブラックホールのメーザー円盤の温度・密度などの物理量を測定できる可能性を示すことに成功した。今後、メーザー源となるガスの物理状態(温度、密度、質量)を調べ、それら微視的物理状態からガス粘性による質量降着メカニズムに制限をつけ、メーザー円盤の進化を研究する。
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