研究概要 |
本年度は、爆発的噴火による山体崩壊を模擬できる数値コードを開発することを目標とし,まず,野外爆破実験(谷口他,2003)と数値シミュレーションの結果を比較し,数値コードの確認,詳細検討を実施した.ラグランジアン法のSPHコードを用いて,地下下部内の任意の深さにエネルギーソースをおき,その高エネルギー領域の発展と地表付近の火口形成を追跡した. 野外爆破実験は,牧場で実施されたため,地下物質の密度,2000kg/m^3と仮定し,流体と比較的小さな岩石強度をもつ弾塑性体の2つの状態方程式を適用した.弾塑性体の場合には,泥とコンクリートの中間の強度の物性を仮定し,Von Misesの降伏条件を適用した.計算では2次元の地下下部にエネルギーソースを与え,その時間発展を追跡した.初期条件として,中心部に高エネルギー密度を与え,その他の粒子はエネルギー密度を0とした. その結果,野外実験におけるクレーター径とエネルギーソース深度との関係が再現され,深度が大きすぎると,クレーターが形成されないことも確認できた。さらに,エネルギーソース深度によって,爆煙の形態が変化する野外実験の結果(Goto et al. 2001)も,粒子の運動の軌跡によって確認され,深度が深くなるほどアスペクト比が小さくなる傾向は数値計算と野外実験で合致した。また,エネルギー総量とクレーター径との相関も模擬できた。 現行シミュレーションは,二次元計算で粒子数に制限があるため,数値シミュレーションの結果と野外爆破実験の結果の相関の確認に留まったが,今後は数値計算コードの解像度を改善するために,並列化を行い大規模計算へ移行する。さらに,三次元計算地盤の物性の確定を実施し,岩石破壊を考慮した弾塑性体の状態方程式を考慮に入れた実際の火山体爆発への応用につなげる予定である.
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