研究概要 |
火山の噴煙にある種の時間変動が存在することは,ずっと以前から認識されていたが,十分な検討は行われてこなかった.本研究者らは,有珠山2000年噴火において,西山火口の噴煙について,赤外および可視の映像を解析することで,基本周期10数秒の時間変動が存在したことを明らかにした.こうしたある種のリズムが,他の多くの火山の噴煙においても普遍的に存在するものであるのか,火山活動の状態に応じて変化するものであるのかを明らかにするために,できるだけ多くの火山において,映像を取得し,解析を試みることとした.今年度は,諏訪之瀬島,浅間山の噴煙について検討した. 諏訪之瀬島では,2003年3月,5月,9月の映像を解析した.2003年3月において,諏訪之瀬島は,ほぼ連続的に大量の白色の噴煙を噴出しており,5月,9月には灰白色の火山灰混じりの噴煙を噴出していた.解析の結果,3月および5月の映像からは,0.01Hz(周期100秒)の整数倍のピークが確認され,9月の映像では300〜400秒の基本周期が明らかになった.この結果は,諏訪之瀬島の地下に共鳴を生じる何らかの機構が存在することを示している. 一方,浅間山の映像からは周期100秒程度の変動が認められるが,解析を行う上で,障害となる問題点が明らかとなってきた。標高の高い火山の火口内を対象とした解析では,強風時に渦が生じて正確な解析が阻害されたり,噴気活動が活発化した場合に視界が遮られるなどである.
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