本年度も昨年度に引き続き、無尾両生類アフリカツメガエルにおける不完全四肢再生の原因をパターン形成の面と組織分化の面から調べた。 まずパターン形成については、本来上腕部と自脚部を形成すべき再生芽が、アフリカツメガエルではそれぞれの部位を形成するのに必要なHox遺伝子の発現を再現しておらず、とくに基部から先端にかけての形態形成が途中で滞っていることを見出した。さらに前後軸形成に必須のshh遺伝子の発現不全が見られることも見出した。これは形態を完全に再生できるはずの幹細胞である再生芽細胞が、正確な分化を起こすことができないことがアフリカツメガエルの不完全四肢再生の原因のひとつである可能性を示唆している。 また組織分化については、筋肉分化について調べ、論文として発表した。このことは、再生芽は筋肉を再生・分化させる能力を持っているが、材料となる筋肉前駆体細胞が存在しない可能性を示している。 再生幹細胞の形成における神経因子の影響について詳しく調べた。再生幹細胞形成時に除神経を行うと形成不全になるが、その原因が細胞増殖異常と細胞死によること、またいくつかの遺伝子発現が不全になることを見出した。また、いくつかの遺伝子発現は除神経によって影響を受けないことから、再生幹細胞形成には神経因子依存的に行われるイベントと、非依存的に起こる内容があることがわかった。現在、論文投稿準備中である。
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