研究概要 |
本年度は昨年度確立した胎盤由来間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell ; MSC)の分離・培養法をさらに確立し、全ての胎盤組織から安定にMSCを培養することを目標に研究を行った。新たにインフォームドコンセントを得た上で取得した20例の胎盤組織から胎盤のexplant培養を施行した。具体的にはこれら胎盤組織を細切し培養皿上で1-2週間培養し、全例で付着細胞群の増殖を認め、全てにおいて限界希釈によりクローナルな均一の細胞群を得た。これらは全て各種培養条件により脂肪細胞・骨芽細胞への分化を示し、多能性をもった幹細胞であることが示された。またRT-PCRによる検討では、これらの細胞はOct-4,Rex-1,GATA-2,AC133,Flt-1などを発現しており、FACSではCD29,CD44,CD54など他のMSCで報告されている細胞表面マーカーを発現していることが確認された。次に、レトロウイルスを用いて遺伝子を導入し各種組織細胞への分化を誘導することを目的として研究を行った。条件検討としてHoxB4の遺伝子導入を試みたところ、約60%の遺伝子導入効率を得ることができ、レトロウイルスを用いて安定かつ高率に遺伝子導入が可能であることを示した。
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