研究課題
循環器領域の再生について血管新生の臨床応用が末梢血管病変でも虚血性心疾患においても進められているが、心筋の再生については基礎的検討も不足している。そのため、われわれは骨髄細胞による心筋の再生の可能性について解析した。その結果、われわれは表面抗原においても形態上(細胞の大きさ(30-90μm)、核の性状(1-2核))も、内在性の心筋細胞と区別できない、骨髄由来の心筋細胞を認めることができた。さらに、骨髄細胞による傷害心における再生能力を検討するため、心腔穿針による傷害モデルを作製したところ、骨髄細胞由来心筋細胞は、傷害のないレシピエントの心組織と比較して多数認められ、3次元的解析においては傷害部位を中心とした骨髄細胞由来心筋細胞の分布があきらかとなった。これらの骨髄由来心筋細胞について、単細胞レベルで収縮能力を評価したところ良好な収縮効率を示した。さらに、ヒト臍帯血を移植することで、免疫不全マウスの心組織において、ヒト心筋細胞を認めた。さらに、これらの心筋細胞の産生のメカニズムを解析することに成功した。現在、小動物での結果が、大動物においても認められるかについて、大動物モデルを作成中である。一方で、われわれは免疫不全マウスの体内において、ヒト造血幹細胞の定量的解析および純化を行ってきたが、心筋再生に必要な幹細胞の同定を並行して進めていく方針である。
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