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2003 年度 実績報告書

シグナル伝達の可視化による幹細胞自己複製の"real time"解析

研究課題

研究課題/領域番号 15039228
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

松崎 有未  慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50338183)

研究分担者 金城 謙太郎  慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90317115)
キーワード造血幹細胞 / 神経幹細胞 / レポーター遺伝子 / Notchシグナル / Wntシグナル / トランスジェニックマウス / 自己複製能
研究概要

幹細胞の特質の一つである『自己複製能』を制御する分子機構として近年、Notch, Sonic Hedgehog (Shh), Wntという3つの機構が提唱されてきているが、単一の、pureな、幹細胞レベルで、それらの機構がどのように役割を分担し、あるいは相互作用し、自己複製に関わっているのかは未だ不明である。本研究ではレポーター遺伝子を用いてシグナル伝達を可視化することにより、各シグナルがどのような細胞分画で活性化しているか、幹細胞におけるおのおののシグナル活性化の有無、造血および神経幹細胞の局在、など、生体内でのこれらの遺伝子に関わるカスケードの生理的作用を単一幹細胞レベルで明らかにすることを目的として以下の実験を行った。
・新規蛍光蛋白質Venusを利用したNotchシグナルの活性化可視化技術の開発
Notchの標的遺伝子であるHes1プロモーター下流に発光団形成時間および半減期が短く、かつ蛍光強度の強い蛍光蛋白質d4-Venusを発現するレポーター遺伝子を作成した。活性化型Notchを発現した細胞株に導入したところ、このレポーター遺伝子はNotchシグナルの活性化に応答した蛍光を発することが確認された。
・幹細胞自己増殖と細胞系譜におけるNotchシグナリングの関連
作成したレポーター遺伝子をレンチウイルスに組み込み、胎児脳より調製した幼弱神経細胞に遺伝子導入後、Venusを発現する細胞をフローサイトメトリーにより分離しNeurosphere形成能を調べたところ、レポーター遺伝子発現細胞中にsphere形成細胞が有意に濃縮されていることが明らかになった。今後、造血幹細胞および神経幹細胞に導入後、各種分化マーカーで染色し、神経系、血液系、双方の幹細胞におけるNotchシグナルをモニタリングすることによって自己複製あるいは分化の際のNotchの意義を明らかにする試みを行う。
・レポーター遺伝子トランスジェニックマウスの作成
Notchシグナリングの下流に位置するHes1プロモーター制御下にGFPを発現させるレポーター遺伝子を導入した変異マウスを作成し、これを用いたNotchシグナリングを可視化する試みに着手した。その結果、神経系ではNeurosphere形成細胞で強発現が見られ、神経幹細胞自己複製においてNotchシグナルが活性化していることが示唆された。その一方、造血幹細胞においてはHes1プロモーター制御によるレポーター遺伝子の発現が全く見られないばかりではなく、骨髄細胞全体で発現が見られなかった。このため現在プロモーター領域をHes5遺伝子由来のフラグメントに置き換え、新たなトランスジェニックマウスを作成中である。またWntシグナル系下流でCyclinD1プロモーター領域に作用するLEF/TCFプロモーター領域とRed Fluorescence Protein (RFP)を用いたレポーター遺伝子を作成し、現在発現解析を行っている。今後、実験動物に導入しトランスジェニックマウスを作成する計画が遂行中である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Matsuzaki, Y., Kinjo, K., Mulligan, RC., Okano, H.: "Unexpectedly efficient homing capacity of purified murine hematopoietic stem cell."Immunity. 20. 87-93 (2004)

  • [文献書誌] Tamaki, T., Akatsuka, A., Okada, Y., Matsuzaki, Y., Okano, H., Kimura, M.: "Growth and differentiation ability of main- and side- population cells derived fromskeletal muscle CD34+/45- fraction."Exp.Cell Res.. 291. 83-90 (2003)

  • [文献書誌] Ramalho-Santos M., Yoon S., Matsuzaki Y., Mulligan R.C., Melton D.A.: ""Stemness" : Transcriptional Profiling of Embryonic and Adult Stem Cells."Science. 298. 597-600 (2002)

  • [文献書誌] Murayama A., Matsuzaki Y., Kawaguchi A., Shimazaki T., Okano H.: "Flow cytometric analysis of neural stem cells in the developing and adult mouse brains."J Neurosci Res.. 69(6). 837-847 (2002)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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