研究課題/領域番号 |
15040204
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桝 和子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (50344883)
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研究分担者 |
塩見 健輔 筑波大学, 基礎医学系, 助手 (00311598)
桝 正幸 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (20243032)
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キーワード | スルファターゼ / ヘパラン硫酸 / ゼブラフィッシュ |
研究概要 |
最近の研究から、ヘパラン硫酸プロテオグリカンがFGF、Wnt、ヘッジホッグなど種々のシグナル分子の情報伝達に必要であることが明らかになって来た。本研究では、発生期の神経パターン形成において重要な役割を担うフロアープレート細胞に特異的に発現する遺伝子として我々が単離した新規のスルファターゼ(SulfFP)遺伝子の機能をゼブラフィッシュを用いて明らかにすることを目指している。SulfFPは、構造的にも機能的にも新しいスルファターゼであり、細胞外でヘパラン硫酸の6位の硫酸基を特異的に分解することにより、ヘパリン結合性因子の情報伝達を調節している可能性があると考えられているが、その機能については不明な点が多い。 先ず、SulfFP1とSulfFP2をクローン化し、その構造を決定した。その結果、他の種で知られているSulfFPと同様に、N末にシグナル配列とスルファターゼ族で保存された配列を持ち、蛋白の中央部には親水性アミノ酸に富んだ領域が存在した。次にホールマウントin situハイブリダイゼーション法を用いて、ゼブラフィッシュ胚における遺伝子発現部位を決定した。SulfFP1 mRNAは、傍軸中胚葉、尾芽、体節、フロアープレート、脳腹側部、中脳後脳境界、ロンボメア、嗅覚プラコードに強い発現が認められたのに対し、SulfFP2 mRNAは、フロアープレート、ハイポコード、脳腹側部、水晶体、腎臓糸球体などに強い発現が見られた。ウズラでは、SulfFPの相同遺伝子Qsulf1の体節における発現がソニックヘッジホッグによって調節されていると言う報告がある事から、ゼブラフィッシュでも同様の現象が見られるかを調べた。その結果、ソニックヘッジホッグを過剰発現させた場合、多くの部位でSulfFP1、SulfFP2 mRNAの発現領域の拡大が見られ、逆にサイクロパミン処理によりヘッジホッグシグナルを阻害した場合には、SulfFP1、SulfFP2 mRNAの発現減少が見られたが、体節におけるSulfF1 mRNAの発現は逆の調節を受けており、ウズラの場合と異なる事が明らかになった。現在、SulfFP遺伝子の機能解析に向けて、モルフォリノアンチセンスオリゴによりSulfFP1、SulfFP2遺伝子の機能を阻害できる条件を検討している。
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