研究概要 |
1994年にヒト尿中のRNaseから発見されたα-C-マンノシルトリプトファン(C-Man-Trp)は、TrpとマンノースがC-グリコシドを介して直接結合した全く新規な糖鎖構造である。(C-Mah-Trp)は天然からほとんど入手できないが、申請者らはすでに完全化学合成に成功しているので、化学合成で供給される(C-Man-Trp)およびその分子プローブを活用して、この全く新規な糖鎖の生物機能を解析することを目的として研究を行った。 本年度は、まずセファロースに固定化した(C-Man-Trp)を使ってマウス血清から見いだした30KDaの分子量を持つ特異的タンパクの同定を目指して研究を進めた。分子量などから、このタンパクはMBL (Mannose Binding Lectin)である可能性があったが、抗MBL-C, MBL-Aモノクローナル抗体を使った免疫染色実験、および精製したMBL-Cを使った実験からこのタンパクがMBL-C, MBL-Aでないことがわかった。 (C-Man-Trp)の超微量分析に不可欠なグルコース、ガラクトースの類縁体の合成を進めアノマーの異性体を含む計6種の糖インドールを合成した。残す3段階によってそれぞれTrpへ変換し、エドマン分解によるペプチドシーケンサーの標品として利用する予定である。 また、合成(C-Man-Trp)を抗原としたモノクローナル抗体の調製に着手した。
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